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ART展示「空気採集」が清澄庭園にて公開されました

空気採集

Air Collection
Participatory Installation / Interactive Art Artist:Natsukawa Marina
私たちのまわりに常に存在しながら、目にすることのできないもの——空気。
本作《空気採集》は、その不可視の存在にあえて手を伸ばし、採集し、展示する参加型インスタレーションです。
来場者には小瓶が手渡され、次の問いが投げかけられます。
「あなたの心が揺らいだ瞬間の空気を採ってきてください。」
嬉しかった瞬間、緊張した瞬間、誰かに会えた瞬間、夢中になった瞬間。
人それぞれの感情が動いた場面で、その場の“空気”を瓶の中に収め、言葉とともに展示空間へ持ち帰ります。
集められた空気には、たとえば——
  • 会いたかった人に会えたときの空気
  • 本のページをめくるときの空気
  • 尊い、と感じた瞬間の空気
  • 緊張して胸が高鳴るときの空気
  • 風そのものの空気
など、多様な記憶と感情が添えられました。
目には見えないものを見つめること。
名前のなかった感覚に、そっと輪郭を与えること。
《空気採集》は、日常に漂う感情の気配を再発見するための試みです。
会場では31個の空気が採集され、それぞれが小さな標本として並べられました。
鑑賞者は他者の体験に耳を澄ませながら、同時に自らの内側にある感覚にも出会うことになります。
見えないものを集める行為は、
世界の解像度を少しだけ上げてくれるのかもしれません。
 
 
 
 
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空気採集

Air Collection
空気は、あらゆる場所に遍在しながら、その存在を意識されることは稀である。私たちは空気を吸い、触れ、共有しながらも、それを対象として捉えることなく日常を通過している。
《空気採集》は、この無自覚に共有される環境要素を、個人的記憶と感情の媒体として再定義する参加型インスタレーションである。
鑑賞者/参加者は小瓶を手に展示空間の外へと向かい、「心が揺らいだ瞬間の空気」を採集するよう促される。採集された空気は言葉による断片的な記述とともに会場へ持ち帰られ、複数の小瓶として陳列される。
そこに収められているのは物質としての空気であると同時に、ある出来事の残響であり、身体を通過した感情の痕跡である。祝福、緊張、憧れ、没入、喪失、歓喜——それぞれの経験は不可視のまま封じ込められ、匿名的でありながら強い固有性を帯びて立ち現れる。
本作において収集されるのは空気そのものではなく、空気に託された知覚の記録である。ボトルという保存装置は、標本・アーカイブ・記念品・遺物といった制度的形式を想起させながら、同時にその空虚さを露呈する。内部を覗き込んでも、そこに視覚的な差異はほとんど存在しない。しかし鑑賞者は添えられた言葉を通して、それぞれの容器に異なる密度や温度、時間の層を想像することになる。
《空気採集》は、見えないものを展示する試みであると同時に、展示という制度そのものへの問いでもある。美術館が保存し提示してきた「もの」の価値に対し、本作は経験、気配、感情、関係性といった非物質的なものをいかに共有しうるかを問う。
31個の小瓶が並ぶ空間には、31の出来事が存在する。
それらは互いに交わることなく静かに佇みながら、鑑賞者の記憶と結びつくことで、展示のたびに新たな意味を生成し続ける。
 
現代美術評論家・秋野しずくは、現代アートを学習したAIによって生成された仮想人格です